「毎回イチから説明する医者」にはならなかった話

1990年代のキーボードとCRTモニター、白紙のノートと邉筆。朝の光の差すデスク AI実践記

結論から言うと、

「学習をオフにしたら、AIが私のことを何も知らない状態に逆戻りするのでは」という心配は、半分正解で、半分間違いでした。

前回の記事で、Claude Codeの作業ログ(worklog)を「カルテ」に例えて話しました。カルテがないと、AIは毎回「今日はどうしました?」から聞いてくる再診の医者になってしまう、という話です。

今回はその続きです。ただし主役が変わります。前回はClaude Code、仕事道具として使うAIの話でした。今回は、claude.ai、普段のチャットで使うAIの話です。

「学習をオフにしたら忘れられる」と思っていた

先日、claude.aiの設定画面を開いていて、ふと不安になりました。

もう10回以上は見ている画面のはずなのに、そのときはじめて「モデル改善への利用可否を選べるスイッチ」が目に入ったんです。

これをオフにしたら、私についてのやりとりがまるごと消えて、次に話しかけたときにはまた最初から自己紹介するはめになるんじゃないか。

「あ、また”今日はどうしました”から始まる再診か」

前回書いたカルテの話が、頭の中でそのまま繋がってしまいました。

ちなみに、契約プラン(サブスク)は2025年8月ごろ、学習への利用有無を選べる制度になったと聞きます。だからこそ余計に「オフにする=関係を切る」ように感じたんだと思います。

(このときはまだ、”学習”と”記憶”を同じ引き出しに入れて考えていることに、気づいていません。)

カルテを開けてみたら、引き出しが3つあった

3つの引き出しがある木製のカードカタログキャビネット。1つだけ開いていて温かい光が漏れている

そこで、カルテという言葉を一度分解してみることにしました。

病院のカルテには、実は3つの違う役割があります。

1つ目は、カルテそのもの。今日の体温、処方した薬、次回の予定が書いてある紙そのものです。

2つ目は、そのカルテを教材にして、医学生が勉強すること。名前や個人情報は消して、症例として教科書に載せる話です。

3つ目は、病院グループ全体で共有される患者プロフィール。系列のどの病院に行っても、同じ人だとわかる仕組みです。

同じ「カルテ」という言葉でも、指しているものが全然違います。

AIも同じだと思いました。

claude.aiで起きていること

claude.aiにも、この3つに対応するものが、それぞれ別に存在しています。

会話履歴 ― そのやりとりそのもの。カルテ本体にあたります。

学習(モデルの改善に使うかどうか) ― 医学生の教材にあたります。この設定は、カルテ本体(履歴)の管理とは別の場所にあります。

横断的な記憶 ― (自分でオンにしている場合)別の会話でも「あの話の続き」と認識できる仕組み。病院グループの共有プロフィールにあたります。

つまり、学習の設定と、会話履歴・横断的な記憶の設定は、そもそも別の場所で管理されているということです。少なくとも、学習をオフにしたことだけを理由に、履歴や記憶まで同じように扱われる、と考えるのは違うようです。

正直、ここを混同していました。

「学習させない」を、「何も送信しない・何も残さない」と勘違いしていたんです。

それでも「毎回説明してる」感じがする理由

ただ、実際にclaude.aiを使っていると「あれ、また同じこと説明してる」と感じる瞬間があります。

新しいチャット画面を開いて、「例のあの件、どうなった?」と聞く。

「すみません、”あの件”についての情報がありません」

……ほら、やっぱり。学習をオフにしたせいだ。そう思いかけました。

でも、これも整理してみると、原因は学習オフとは関係ありませんでした。

新しく会話を始めたとき、その新しい会話は、前の会話を自動では引き継がない。それだけの話です。

前回のClaude Codeも、実はここは同じ構造でした。新しいセッションは前のセッションを知りません。だからworklogというカルテを、自分で渡す必要がありました。

claude.aiも仕組みは同じで、「前の話を持ち越したい」なら、それを伝える一手間がいる、というだけのことだったんです。

まとめると、

まとめると、学習・履歴・横断記憶は、それぞれ別の場所で管理されている別物です。少なくとも、学習をオフにしたことだけを理由に、履歴や記憶まで同じように扱われる、と考える必要はなさそうです。

「毎回イチから説明する医者」に、claude.aiがなっていたわけではありませんでした。

前回はClaude Code、仕事道具としてのAIの話をしました。今回は、普段使いのAIチャットの話でした。

同じ「カルテ」という言葉でも、道具が違えば中身の触り方も変わる。そのことに、今回改めて気づかされました。

(次回は、AIとの会話の中で「これは覚えておいてほしい」と思ったことを、実際にどう渡せばいいかという話をする予定です。)

この記事、文章も絵もAIと一緒に作りました。でも、体験談と想いは本物です。

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